企業家研究フォーラム2026年度年次大会に登壇しました
「ローカル・スタートアップの育成について、三原市SCCの実践事例を報告」
2026年7月12日、大阪産業創造館で開催された「企業家研究フォーラム2026年度年次大会」の共通論題に、当社代表取締役の松浦幸夫が登壇しました。
共通論題のテーマは、「ローカル・スタートアップの育成・資金調達・出口戦略:中国地域」です。東京、名古屋、大阪などの都市部で生まれるスタートアップと、地方で生まれるローカル・スタートアップとの違いや特徴を、育成、資金調達、出口戦略、政策、研究の各視点から検討する場として開催されました。
「苗木と土壌」をテーマに、三原市SCCの5年間を報告
松浦は「起業家育成」の立場から、広島県三原市が主催するスタートアップ創出シティカレッジ(SCC)の取り組みについて報告しました。発表タイトルは、「苗木と土壌」です。
起業家を「苗木」に例えるなら、その成長を左右するのは、本人の能力や意欲だけではありません。学び、対話、仲間、メンタリング、地域の支援者とのつながりといった、苗木を育てる「土壌」の存在が重要です。
都市部の強みが、資金、人材、情報などの「資源の量」にあるとすれば、ローカルの強みは、挑戦者と支援者が近い距離で関わる「関係性の密度」にあります。
三原市で5年間にわたりSCCを運営してきた実践をもとに、地域における起業家育成では、単に知識を教えるだけでなく、挑戦者が一歩を踏み出し、行動を継続できる環境をつくることが重要であると報告しました。
SCC修了生の事例から見る、育成と資金調達のつながり
報告では、SCC第2期修了生で、歯科技工士の吉井誠さんの歩みを事例として紹介しました。
吉井さんは当初、歯科技工とは異なる分野での事業を模索していました。しかし、SCCでの学びやメンタリングを通じて、自らの強みは高度な歯科技工技術にあると再認識します。
その後、「三原から世界を救いたい」というビジョンを掲げ、世界の歯科医療格差を解決する事業へと構想を転換しました。SCC修了後も継続的な伴走支援を行うなかで、ENTECH株式会社を設立。2026年には地元企業からの出資を受け、現在はベンチャーキャピタルとの交渉へと進んでいます。
地域内の信頼関係から生まれた最初の一歩が、企業の設立、資金調達、さらなる事業成長へとつながり、ローカルからグローバルへと動き始めています。
この事例は、起業家育成が講座の修了で終わるのではなく、資金調達や成長戦略、その先の事業展開へとつながる可能性を示しています。
育成・資金・政策・研究を越えた議論
共通論題では、問題提起に続き、松浦が起業家育成、広島ベンチャーキャピタル代表取締役社長の西岡賢氏が資金調達、高橋先生が出口戦略について報告しました。
また、近畿大学の玉井由樹先生、中国経済産業局イノベーション推進課長の高城幸治氏がコメントを行い、関西学院大学の加藤雅俊先生が司会を務めました。大会プログラムでは、松浦は「育成」の報告者として掲載されています。
育成、資金調達、出口戦略、政策、研究という異なる立場の登壇者が一堂に会し、ローカル・スタートアップの今後のあり方について議論する、非常に意義深い機会となりました。
ローカル・スタートアップは、育てられる
地域には、起業家の芽がないのではありません。
挑戦する機会や、学びを行動につなげる場、相談できる伴走者、地域内外の支援者と出会う機会が、都市部に比べて少ないだけかもしれません。
SCCでは、知識を学ぶだけでなく、受講生同士の対話、講師や起業家との接点、継続的なメンタリングを通じて、挑戦者が自らの可能性に気づき、行動を始めるプロセスを支援しています。
2026年度は、SCC第6期がスタートしました。
これからも三原市を舞台に、起業や新規事業に挑戦する人を育て、地域から新しい事業が生まれる土壌づくりに取り組んでまいります。ご一緒いただいた登壇者の皆さま、ご来場いただいた皆さま、そして三原市における起業家育成の事例としてSCCを取り上げてくださった高橋陽二先生に、心より感謝申し上げます。
